1.はじめに
SEO(検索エンジン最適化)は、ウェブサイトやコンテンツが検索エンジンの結果ページ(SERP)で上位に表示されるようにするための一連の施策です。SEOはウェブマーケティングの重要な要素であり、特にキーワード選定は内部施策の要であるコンテンツ作成の初動に当たるとても重要な作業です。
ユーザーが検索エンジンに入力する単語やフレーズを「キーワード」と特定し、それをコンテンツに効果的に取り入れるためのプロセスの1つがキーワード選定です。数あるキーワードから適切なキーワードを選ぶことで、効率良くターゲットユーザーにリーチし、自然検索におけるウェブサイトのトラフィックを増やすことができます。
他の一般的なSEO会社の記事では、「キーワードの選び方」の説明においてツールの重要性や効率性を説いた後に自社の有償ツールやサービスへの促進が展開される場合が多く見受けられます。しかしこの記事では、そうした有償ツールを使わずにSEO初心者の方が無料で実践できるキーワードの選び方をご紹介します。
キーワードの選び方の重要性からその具体的な基準、必要なSEOの知識、ツールの活用方法、注意点まで、この記事を読むことで、初心者の方がキーワードの選び方とその具体的な方法を理解しながら無料で効果的なSEO対策を実施できる方法をご紹介します。
2.キーワード選定の基本
キーワードとは何か?
キーワードとは、ユーザーが検索エンジンで情報を探す際に入力する単語やフレーズのことです。例えば、「SEO キーワード 選び方」や「SEO 初心者 ガイド」などがそれにあたります。これらのキーワードを適切に選び、コンテンツに組み込むことで、検索エンジンの結果ページ(SERP)での上位表示を狙うことができます。
キーワードの選び方の重要性
キーワードの選び方は、SEO施策における内部施策の1つであるコンテンツ作成のはじめの一歩となり、またコンテンツの指針ともなるために非常に重要な作業です。キーワードの選び方の重要性を理解した上で、適切な方法で選定を行うことが、SEO対策の成功への近道となるでしょう。以下に重要性の具体例を挙げておきます。
ターゲットユーザーとの適切なマッチング
適切なキーワードを選定して、そのキーワードをテーマに適したコンテンツを作成することで、自社の商品・サービスに関心を持つユーザーにコンテンツを見つけてもらうことができます。そうしてターゲットユーザーを自社のwebサイトに集客できる可能性が高まります。そのためユーザーの検索意図を正確に把握し、それに合致するキーワードを選ぶことが重要です。
検索結果の上位表示の獲得
検索エンジンは、ユーザーが検索したキーワードとコンテンツの内容を照らし合わせ、関連性の高いサイトを上位に表示します。狙ったキーワードで検索結果の上位表示を獲得できれば、多くのユーザーの目に触れる機会が増え、集客に繋がります。
コンテンツ作成の指針
ターゲットとなるユーザーがどのようなキーワードで検索しているのかを把握することで、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを作成することができます。キーワード選定は、コンテンツマーケティング施策の基盤となる重要な役割を担っています。またキーワード選定のプロセスで、上位表示されている競合コンテンツの情報を分析して「上位表示にはどんな要素が必要なのか」を把握することもコンテンツ作りの参考となります。
ブランド認知の向上
ターゲットユーザーや潜在ユーザーの検索意図に合致したコンテンツを提供することで、ユーザーの満足度を高めると同時に、ユーザーの興味関心と自社のサービスやブランドのカテゴリがマッチして自社の認知が広まる可能性が高くなります。
3.キーワード候補リストを作成する
メインのキーワードを決める
ターゲットとなるユーザーがどんな単語やフレーズの組み合わせ=キーワードで検索するのかを決めるまえに、そのキーワード=単語やフレーズの組み合わせの核となるメインキーワードを決めます。例えば帽子専門店であれば「帽子」という単語がメインのキーワードとなり「帽子 レディース」「帽子 収納」「帽子 洗い方」などのキーワードが選定の対象となります。このように、おそらく自社のサービスや取扱商材がメインのキーワードとなるケースが多いのではないでしょうか。
またメインのキーワードは1つとは限りません。例えば前述の帽子専門店のケースであれば、帽子の中でもハットを中心に扱っている場合「帽子」の他に「ハット」がメインキーワードとなり、「ハット レディース」「ハット 収納」「ハット 洗い方」といったキーワードの展開が考えられます。メインとなり得るキーワードが複数ある場合はこの時点で考え得るキーワードを洗いだしておいた方が良いでしょう。
ツールを使ってキーワードリストを作成する
メインのキーワードが決まったら、なるべく多くのキーワード候補を抽出したキーワード候補のリストを作成しましょう。キーワード候補リストの作成にはツールを使います。リスト作成のツールとして、ラッコキーワードとGoogleキーワードプランナーを使います。どちらも使用制限はありますが、無料で使うことができるツールです。以下の手順でまずラッコキーワードでキーワードを洗いだし、Googleキーワードプランナーでリストを抽出して、最後に使いやすいようにリストを整えます。他のツールでもキーワード候補リストを作ることは可能ですが、この記事では無料でできるキーワード候補リストの作り方をご紹介します。
手順1:ラッコキーワードを使ってキーワードを洗い出す
ラッコキーワードは、メインのキーワードを入力して検索すれば、そのメインキーワードと単語やフレーズの組み合わせを抽出してくれます。まずはラッコキーワードにアクセスします。
https://related-keywords.com/
ラッコキーワードにアクセスしたら「キーワード検索」と書かれている検索窓にメインのキーワードを入力して検索します。
入力したキーワード候補がたくさん抽出されるので、ページ右上にある「全キーワードコピー(重複除去)」をクリックして抽出されたキーワードをすべてコピーします。そのままGoogleキーワードプランナーを使います。手順2へ。
手順2:Googleキーワードプランナーでリストを抽出する
Googleキーワードプランナーでは、ラッコキーワードで抽出したたくさんのキーワード候補をコピー&ペーストで流し込んで、キーワード候補のリストとして必要な情報を整えます。ラッコキーワードで「全キーワードコピー(重複除去)」をクリックする際には、Googleキーワードプランナーが使える状態にしておくと良いでしょう。
まずはGoogleアカウントにログインした状態でGoogleキーワードプランナーにアクセスします。Googleアカウントをお持ち得ない場合は、Googleアカウントを作成してログインしてからこの手順を行ってください。
https://ads.google.com/aw/keywordplanner/home
Googleキーワードプランナーにアクセスしたら、「検索ボリュームと予測のデータを確認する」をクリックします。
さらに「検索ボリュームと予測のデータを確認する」の下に配置されている検索窓に、先ほどラッコキーワードでコピーしたキーワード候補をここでペーストして「開始する」ボタンをクリックします。
そうして手順2で抽出したキーワード候補リストが表示されたら、ページ右上のダウンロードのアイコンをクリックします。
「過去のプラン指標」の「csv」or「スプレッドシート」を選択してリストをダウンロードします。
手順3:リストを整える
ダウンロードしたキーワード候補のリストを自分が使いやすいように整えます。キーワード候補のリストはファイル上で検索ボリューム順に並び替えを行うことをおすすめします。検索ボリュームとは、キーワードが世の中でどの程度検索されているのかを示す指標で、その数値が大きいほど検索される回数が多いということになります。文字が切れていて見づらいですが「Avg. monthly searches」という項目の列に書かれている数値が検索ボリュームとなり、月間で検索される平均の数が表示されています。
この「Avg. monthly searches」を「降順」で並び替えします。
あとは自分が見やすいようにこのキーワード候補リストを整えます。今回はキーワードと検索ボリューム以外の情報は削除して整えてキーワード候補リストの完成です。
※Googleキーワードプランナーは、本来Google広告を運用する一環で使うツールのため、Google広告に出稿するアカウントが使うことを前提としています。Google広告を出稿しないで、Googleキーワードプランナーでキーワード候補リストを作成した場合は上記のように、検索ボリュームが大まかな数値で表示されます。Google広告を出稿している場合は、より具体的な数値で検索ボリュームが表示されます。
フレームワークを使う
キーワード候補リストを作るには以上のフローで十分作成を行うことができます。キーワード選定をより効果的に行いたいときは、3C分析やペルソナ構築などのフレームワークを活用することで、ターゲットユーザーを把握しながら適切なキーワードを選定することができます。必ずしもフレームワークを使ってキーワード選定を行う必要はありませんので、自社の状況に応じて行うことをおすすめします。キーワード選定に使うフレームワークとして、ここでは3C分析とペルソナ構築の重要性と概要を簡単に解説しておきます。
3C分析
3C分析は、自社(Company)・顧客(Customer)・競合(Competitor)の3つの要素を分析することで、市場における自社の立ち位置や競争優位性を明確にし、効果的な戦略を立案するための手法です。
<キーワードの選び方における「3C分析」の重要性>
キーワードの選び方において3C分析を活用することで、以下のメリットを得ることができます。
〇自社の強みや差別化ポイントを明確にすることで、ターゲットとなるユーザーにとって魅力的なキーワードを絞り込むことができます。
〇顧客ニーズを深く理解することで、ユーザーがどのような情報を求めているのかを把握し、それに合致するキーワードを選定することができます。
〇競合他社の状況を把握することで、競合他社がどのようなキーワードで上位表示を獲得しているのかを分析し、自社の戦略を差別化することができます。
<3C分析の方法>
「自社分析」: 自社の強みや差別化ポイント、ターゲット顧客、提供価値などを分析します。
「顧客分析」:ターゲット顧客の属性、ニーズ、購買行動などを分析します。
「競合分析」:競合他社の商品・サービス、マーケティング戦略、SEO対策などを分析します。
ペルソナ構築
ペルソナとは、架空の顧客像のことです。ターゲットユーザーをより具体的に理解するために、年齢、性別、職業、趣味、家族構成、ライフスタイルなどの属性情報に加え、ニーズ、課題、購買行動などの詳細を設定してターゲット像を浮き彫りにします。
<キーワードの選び方における「ペルソナ構築」の重要性>
キーワードの選び方においてペルソナ構築を活用することで、以下のメリットを得ることができます。
〇ターゲットユーザーをより具体的にイメージすることで、そのユーザーがどのようなキーワードで検索しているのかを想像しやすくなります。
〇それによって共感を呼ぶコンテンツを作成しやすくなり、ユーザーのエンゲージメントを高めることができます。
<ペルソナ構築の方法>
「ターゲットユーザーを選定する」:商品・サービスのターゲットとなるユーザー層を明確にして、ターゲットユーザーに関する情報を収集します。 情報収集の方法としては、アンケート、インタビュー、顧客データ分析などがあります。
「ペルソナの設定」:収集した情報に基づいて、ペルソナを設定します。 ペルソナには、デモグラフィック情報(年齢、性別、職業、居住地など)、サイコグラフィック情報(価値観、ライフスタイル、趣味など)、行動データ(購買履歴、Webサイト閲覧履歴など)などを設定します。
4.キーワードを選ぶ
上記で作成したキーワード候補のリストの中から、どのキーワードを選んで上位表示を狙うかは慎重に検討する必要があります。単に検索ボリュームが高いキーワードを選ぶだけでは、競合性が激しいために期待する結果を得られないこともあります。
また選んだキーワードに対して既にコンテンツがある場合、または既存コンテンツがなくて新規にコンテンツを作成する場合、どちらの場合でもひとまず必要なキーワードを一通り選ぶことをおすすめします。実際にそのキーワードに対して既存コンテンツを作り直すのか、もしくは新規コンテンツを作成する必要があるのかはキーワード選定の後で判定すれば良いからです。
このセクションでは、そのキーワードが自社のビジネスやコンテンツと関連性があるかどうか、ユーザーの検索意図に合致しているか、競合の状況はどうかなど、さまざまな視点からキーワードを評価することが必要になります。その基準を1つずつ説明いたします。
自社との関連性とユーザーの検索意図
キーワード候補リストの中から、自社のビジネスやコンテンツと関連性があるかないかの基準は、キーワード選定の大前提となります。いくら検索ボリュームが高くて多くのユーザーから検索されているキーワードでも、自社のビジネスやコンテンツと関連性がない、もしくは無理があるキーワードは選ばないことです。
例えば帽子専門店の場合、「帽子 画用紙 作り方」「帽子 100均」といったキーワードの検索意図は、「自分で画用紙を使って帽子を作る方法」や「100円ショップで売っている帽子の情報」を求めていると推察できますが、帽子専門店のwebサイトにそれらのキーワードに対するコンテンツを作成することが適当かどうかを判断する必要があります。自分で帽子を作るユーザーや他店(100円ショップ)の帽子に興味があるユーザーを集客すべきなら、キーワードとして選んだ方が良いのですが、この場合はおそらく優先順位としてはかなり低いか関連がないと判断した方が良いでしょう。
こうしてキーワードに対するユーザーの検索意図から自社との関連性を判断して、関連がないキーワードは除外していきます。ただし、関連がありそうな場合はひとまず残しておいて、後から改めて精査することも有効です。逆に自社が得意とする分野や強み、ミッションやビジョンに関するキーワードは積極的に上位表示を狙うキーワード候補として選定していくと良いと思います。
検索ボリューム
検索ボリュームは、そのキーワードがどれだけ頻繁に検索されているかを示します。大きい検索ボリュームは、そのキーワードに対するユーザーの関心が高いことを示しています。つまり、検索ボリュームの大きいキーワードで上位表示されれば、より多くの訪問数を獲得できることを期待できます。こうした意味で検索ボリュームはキーワードの選び方における重要な指標になります。
ただし検索ボリュームが大きいキーワードは、多くのwebサイトがそのキーワードで上位表示を狙っているため、競争が激しい傾向があります。そのため新規参入者やリソースの限られた中小企業にとっては、競合度合いが高いキーワードでの短期間での上位表示は難しいことがあります。
逆に検索ボリュームが小さいキーワードは比較的競争も緩やかな傾向があることから、容易に上位表示を狙える可能性が高いです。特にニッチな市場や特定のトピックに関連するキーワードは、競合が少ないことが多く、狙い目となります。
検索クエリの4タイプ(Know、Go、Do、Buy)
Google関係者やSEO専門家の間で広く共有・活用されている検索クエリの分類が「Know、Go、Do、Buy」です。検索クエリとは、ユーザーが検索エンジンに入力する検索語句のことで、ユーザーの検索意図に基づいて検索クエリをこの4つのタイプに分類してキーワードの選定とコンテンツ作成に役立てます。ここでは、例として「帽子」に関連するキーワードを用いて、それぞれのクエリタイプについて説明します。
「Know」クエリ
Knowクエリは、ユーザーが情報を探しているときに使用する検索クエリです。ユーザーは特定の情報を知りたい、学びたい、理解したいと考えています。このタイプのクエリは情報提供型のコンテンツに最適です。
<例>
「帽子の種類」
「帽子の選び方」
「夏におすすめの帽子」
<効果的なコンテンツ>
ガイド記事、How to記事、FAQなど、ユーザーが特定の情報を知りたい、学びたい、理解したいというニーズを満たすように作成することが重要です。
「Go」クエリ
Goクエリは、ユーザーが特定のウェブサイトやページにアクセスしたいときに使用する検索クエリです。ユーザーはすでに目標のウェブサイトを知っており、そのサイトに直接アクセスするための手段として検索を利用しています。
<例>
「帽子屋 新宿」
「帽子店 東京都」
「帽子 販売 港区」
<効果的なコンテンツ>
Goクエリはナビゲーションクエリとも呼ばれ、ユーザーが求めるページに迅速かつ容易にアクセスできるコンテンツを提供することが重要です。
Doクエリ
Doクエリは、ユーザーが特定のアクションを実行したいときに使用する検索クエリです。ユーザーは購入、ダウンロード、申し込みなどの具体的な行動を起こす準備ができています。
<例>
「帽子 洗う」
「帽子 手入れ」
「帽子 作り方」
<効果的なコンテンツ>
ユーザーが何かしらの行動を起こしたいという意図を持っているため、行動を促すようなコンテンツが最適です。商品ページ、how to記事、比較記事などが挙げられます。また検索意図に応じて申し込みや特定のアクションを促すボタンを分かりやすく配置することも鍵となります。
Buyクエリ
Buyクエリは、ユーザーが購入に関する情報を探しているときに使用する検索クエリです。ユーザーは特定の商品やサービスについて比較検討し、最適な購入をしたいと考えています。
<例>
「おしゃれな帽子 おすすめ」
「帽子 人気ランキング」
「メンズ 帽子 セール」
<効果的なコンテンツ>
商品ページやサービスページなど、ユーザーが購入を促進するための詳細な情報を提供することが重要です。ユーザーが求める情報に迅速にアクセスできるよう、商品の詳細情報、価格、購入ボタン、セール情報などを分かりやすく配置し、信頼性のあるコンテンツを提供することで、ユーザーの購買意欲を高めることができます。
検索クエリの4タイプ(Know、Go、Do、Buy)のまとめ
検索クエリの4タイプ(Know、Go、Do、Buy)を理解し、それぞれのユーザーの検索意図に応じたキーワードを選定することは、効果的なSEO対策に繋がります。Knowクエリでは情報提供、Goクエリでは特定のサイトへのナビゲーション、Doクエリでは具体的な行動、Buyクエリでは購入に関する情報を提供するコンテンツを作成することで、ユーザーのニーズに応えることができます。各クエリタイプに適したキーワードを戦略的に選び、ターゲットユーザーにリーチしましょう。
「指名検索」「購入検索」「情報検索」
検索クエリの4タイプ(Know、Go、Do、Buy)と同様に、検索クエリをユーザーの検索意図に基づいて「指名検索」「購入検索」「情報検索」の3タイプに分類する方法です。検索クエリの4タイプ(Know、Go、Do、Buy)よりもシンプルで簡潔に分類することができます。
指名検索キーワード
指名検索キーワードは、ユーザーが特定のブランドや企業名、サービス名などに直接アクセスしたいときに使用するクエリです。数あるブランドやサービスなどの中から、そこで購入しようとする購買意欲の高いユーザーが検索するキーワードであり、成約率が最も高く経済価値が最も高いと考えられます。
<特徴>
ブランド名や企業名、サービス名などが含まれる。
特定のページやサービスを訪問する意図。
<例>
「Amazon」
「ユニクロ」
「ヤフオク」
購入検索キーワード
購入検索キーワードは、ユーザーが購入や申し込みなどの具体的な行動を起こす意図を持っているクエリです。指名検索に次いで成約率が高く、経済価値が高いキーワードです。
<特徴>
購入や申し込みを目的とした具体的なクエリ。
購入を促進するための情報を求める。
<例>
「メンズ帽子 購入」
「帽子 麦わら おすすめ」
「帽子 オーダーメイド」
情報検索キーワード
情報検索キーワードは、ユーザーが特定の情報を探しているときに使用するクエリです。直接的にすぐに売上につながるキーワードではありませんが、webサイトへの訪問数を増やし、サイト全体の評価を高めるためには欠かすことのできないキーワードです。
<特徴>
知識や情報を得るためのクエリ。
特定の行動を目的としない。
<例>
「帽子 種類」
「帽子 保管方法」
「帽子 かぶり方」
指名検索、購入検索、情報検索のまとめ
検索クエリを「指名検索」「購入検索」「情報検索」に分類する方法は、検索クエリの4タイプ(Know、Go、Do、Buy)と同じようにユーザーの検索意図を理解することに基づいています。この分類方法を活用することで、ユーザーの検索意図に基づいた最適なコンテンツを提供し、SEO戦略を効果的に実施することができます。
「指名検索キーワード」:特定のブランドやウェブサイトを訪問する意図が明確なクエリ。ブランド名やウェブサイト名が含まれることが多い。
「購入検索キーワード」:具体的な購入や申し込みの行動を起こす意図があるクエリ。商品名、サービス名、価格、購入方法などが含まれる。
「情報検索キーワード」:知識や情報を得ることが目的のクエリ。一般的な情報、方法、知識を求める。
5.「知っておいた方が良い」SEOの知識
SEO(検索エンジン最適化)の基本は、webサイトやコンテンツが「いかにユーザーにとって有益か」と「いかに検索エンジンに効率的に認識されるか」です。この2つの基本に適ったwebサイトやコンテンツを戦略的に構築するためには、関連するSEOの知識を押さえておく必要があります。このセクションでは、キーワードの選び方のプロセスで役立つSEOの知識について解説します。
1キーワード1コンテンツの基本
SEOにおいて、上位表示を狙う1つのキーワードにつき1つのコンテンツを作成することが基本とされています。これには以下のようにいくつかの理由があります。
検索エンジンにとってのコンテンツ理解の向上
検索エンジンは、各ページの内容を理解して、関連性の高い検索結果に表示させるように設計されています。1つのコンテンツで複数のキーワードを網羅しようとすると、検索エンジンにとってコンテンツの内容が理解しづらくなり、関連性の低い検索結果に表示されてしまう可能性が高くなります。一方、1つのコンテンツのテーマを1つのキーワードに絞ることで、検索エンジンはコンテンツの内容をより明確に理解しやすくなり、関連性の高い検索結果に表示されやすくなります。
ユーザー満足度の向上
ユーザーは、検索結果から目的の情報を探しています。1つのコンテンツの中で複数のキーワードを網羅した内容だと、ユーザーが求めている情報がどこに書かれているのかわかりにくくなり、すぐに離脱してしまう可能性が高くなります。一方、1つのコンテンツに対して1つのキーワードに絞ることで求めている情報を見つけやすく、ユーザーにとって満足度の高いコンテンツになると言えます。
コンテンツ制作の効率化
複数のキーワードを網羅した内容のコンテンツの場合だと内容が薄くなり、質が低くなってしまう可能性があります。一方、1つのキーワードに絞ることで、そのキーワードに関する情報を深く掘り下げた、専門的で質の高いコンテンツを作成することができます。また、コンテンツ制作のテーマが明確になることで、ターゲットとなるユーザーに訴求しやすい内容に仕上げやすくなります。また1コンテンツに複数キーワードを詰め込むと、タイトルやメタディスクリプションなどを効果的に作成することが難しくなるデメリットもあります。
ロングテールキーワードと検索ボリュームの少ないキーワード
ロングテールキーワードとは、「東京 渋谷 メンズ帽子 ショップ」など3語以上の単語で構成された検索ボリュームが比較的少ないキーワードのことを指します。このロングテールキーワードを含めて検索ボリュームの少ないキーワードは以下の特徴があります。
<特徴>
〇検索意図が明確である
〇競合が比較的少ない
〇そのため上位表示を狙いやすい
反対に競合が多い「帽子」一語のような単一キーワードの場合だと、ユーザーの検索意図をフォーカスすることができず、上位表示が簡単ではない傾向にあります。逆に検索ボリュームの少ないキーワード(ロングテールキーワード)は、検索意図が明確で比較的競合が少ない傾向にあるため、SEO対策を始めたばかりのwebサイトにとっては上位表示を狙いやすいキーワードと言えます。ただし、検索ボリュームの少ないキーワード(ロングテールキーワード)は検索ボリュームが少ないために、その集客効果を小さく感じる場合もあります。ここで大事なことは、仮に検索ボリュームの少ないキーワード(ロングテールキーワード)での上位表示に成功した場合でも「その効果が小さい」と落胆しないことです。あきらめずに他のキーワードでも同じようにコンテンツ作成を続けることが重要です。なぜなら、そうすることで検索エンジンはwebコンテンツへの理解とwebサイトへの認識を高めていく可能性が高いからです。ゆくゆくは上位表示が難しいと言われる単一キーワードや競争の激しいキーワードの上位表示も実現可能になります。
親記事と子記事
SEOでは、検索エンジンとユーザーの両方にとって論理的に理解しやすいサイト構造を構築することが重要です。例えば、「帽子 種類」というキーワードの上位表示を狙う場合、以下の図のように「帽子 種類」の説明コンテンツの下層に帽子の種類のカテゴリである「キャップ」や「麦わら帽子」に関するコンテンツを作成します。この場合、帽子の種類を説明したコンテンツ「帽子の種類」の下層にキャップや麦わら帽子に関するコンテンツ「麦わら帽子」とコンテンツ「キャップ」を配置することで、コンテンツ「帽子の種類」が親記事、コンテンツ「麦わら帽子」とコンテン「キャップ」が子記事となります。検索エンジンとユーザーの両方に理解されやすくなるために、このように論理的に適合したサイト構造を作ることが重要です。
またキーワードの難易度によっては、この子記事を多く作成してSEOの効果を上げることが必要となります。例えば「帽子 種類」が「キャップ」や「麦わら帽子」の子記事だけでは上位表示することが難しいのであれば、同じように帽子の種類のカテゴリである「ニット帽」や「ベレー帽」のコンテンツも作成して子記事の数を増やすとSEOの効果がさらに高まります。ただし、ユーザーにとって有益でない子記事コンテンツをいくら増やしても、効果はありませんので注意が必要です。
こうしてテーマやトピックなどを扱った親記事とその詳細を説明した子記事の構造にして、ユーザーが利用しやすいように親記事と子記事の相互に内部リンクを設置すると、親記事→子記事、子記事→親記事と自然なページ遷移を促すことができSEOとしての効果が期待できます。
6.【より効果的にするために】行った方が良いこと
キーワード候補リストの中からある程度キーワードを絞り込むこができたら、上位表示されている競合コンテンツの分析や自社の検索表示順位の確認を行うことをおすすめします。それによって各キーワードのコンテンツ作成の方向性や実現性の確認、あるいはどのキーワードから攻略していくのかといった優先順位づけを行う参考となります。
コンテンツ作成を意識する
キーワード選定後に行うコンテンツ作成を意識すると、キーワード選定~コンテンツ作成がブレずに行えます。まず、作成しようとしているコンテンツの目的を明確にしましょう。そのコンテンツの目的は集客でしょうか?それともコンバージョンでしょうか?必ずしもどちらかに決める必要はありませんが、集客かコンバージョンかでキーワードの選び方やターゲットも変わりますし、その後の作業であるコンテンツ作成にも大きく関わることになります。キーワード選定から始まるコンテンツ作成に一貫性を持たせるためにも目的を明確にしておいた方が良いでしょう。
またそのキーワードは、親記事と子記事の構造が必要なのか、単一ページで十分なのかどうかも考慮しましょう。もし親記事と子記事の構造でコンテンツ作成が必要であれば、その親記事と子記事のテーマとなるべきキーワードをグルーピングしておくと良いでしょう。
上位の競合コンテンツを分析する
キーワードを実際に検索して上位に表示されている競合のコンテンツを分析することは、キーワードの選び方においてとても有効です。上位表示されているコンテンツは、検索エンジンに高く評価されていると言えるからです。またそれによって「そのキーワードに対するコンテンツを作成することが現実的かどうか」といったキーワードの選び方に関わる判断を行うこともできます。このセクションでは上位表示の競合コンテンツを分析することで得られるポイントを紹介します。
ユーザーの検索意図を理解できる
上位表示されているということは、ユーザーの検索意図に適っていると検索エンジンが判断している可能性が高いコンテンツとなります。キーワードを検索したユーザーがどんな内容の情報を欲しているのかを理解する参考になります。
求められているコンテンツの傾向を把握できる
上位表示されているコンテンツにはどんな種類が多いのか、どんな内容のコンテンツが多いのか、ユーザーが求めているコンテンツの傾向を知ることができます。文字数や画像の数などの要素がどの程度必要なのか、コンテンツ作成の実現性や作成時間などを推し量る参考となり得ます。
自社の検索順位を確認する
各キーワードに対する自社の検索順位を確認することが、キーワード候補の優先順位付けやその後のコンテンツ作成の参考やモチベーションとなります。このセクションでは自社の検索順位を確認する重要性とその方法について説明します。
検索エンジンを使って実際に検索する
Googleの検索エンジンを使って実際にキーワードを検索して、自社の表示順位を確認します。後ほどご紹介するツールを使った表示順位の計測方法と比べると手間はかかりますが、ツールでの計測方法では得られない点があるため、私はこの手動で計測する方法をおすすめしています。ツールを使った計測方法との違いを含めて、検索エンジンを使って実際に検索する方法のポイントをご紹介します。
「競合の情報を確認できる」
実際に検索エンジンを使って自社の表示順位を調べるメリットは、自社の順位以外の情報も確認できることです。どんな競合が上位に表示されているのか?競合のタイトルやメタディスクリプションはどんなテキストなのか?といった自社以外の状表示されているコンテンツの情報を知ることができます。実際に検索エンジンを使って順位を調べるときは、個人の検索履歴や閲覧履歴、位置情報などの個人の情報や設定の影響を受けないゲストモードを使うことをおすすめします。
「ユーザーと同様の体験ができる」
また自社の表示順位が上位ではない場合、実際にPCやスマホで自社の表示をスクロールしながら確認することで、ユーザーのような体験ができることです。自社が表示されるまでにどのていど表示結果をスクロールしなくてはいけないのか?と、ユーザーが自社のコンテンツにたどり着くまでのプロセスを体験することで改めてSEO施策に取り組む意欲が湧いてきます。
「自社の順位を記録する」
自社の検索順位を調べたら、上記で作成したキーワード候補リストに各キーワードの順位を入力しておくことをおすすめします。ツールで順位を計測してCSVでエクスポートすれば同じと思われがちですが、キーワード1つ1つを検索~手入力することでより確実に自社の順位を確認せざるを得ず、その後のSEO施策へのモチベーションを高めることができます。競合よりも順位が下位だった場合はしっかりと屈辱感が味わえます。またSEO施策後に計測した場合にもやはり順位を記録していけば、施策前後でどれだけ順位が変動したのか、その効果を確認することができます。
ツールを使って順位を計測する
Google Search Consoleを使って無料で検索順位を調べることもできます。上記のように手動で検索して表示順位を調べる時間や手間をかけられない方はこちらを使うことをおすすめいたします。
詳しくはGoogle Search Consoleのサポートページをご覧ください。
7.まとめ
キーワードの選び方の手順と説明は以下のようにまとめることができます。
キーワード選び方の重要性の理解
↓
キーワード候補リストの作成(ラッコキーワード、Googleキーワードプランナー)
↓
キーワード選定(基準、フレームワーク、SEOの知識)
キーワード選定は、SEO施策における内部施策の1つであるコンテンツ作成のはじめの一歩となり、検索結果の上位表示を実現することでターゲットユーザーの集客を行うことができます。
無料で使えるラッコキーワードやGoogleキーワードプランナーなどのツールを使ってキーワードの候補になるリストを作成して、その中から自社に関連しているかどうかなどの選定基準や3C分析・ペルソナ構築といったフレームワークを使いながら自社の状況に合った方法でキーワード選定を行っていきます。
またキーワード選定は、後に行うコンテンツ作成を見据えて行うことも必要です。そのキーワードで作成すべきコンテンツの目的や内容は?上位表示している競合の要素は?コンテンツ作成の実現性は?ユーザーの検索意図は?なども考慮する必要があります。また「1キーワード1コンテンツ」や検索ボリュームや、親記事と子記事もしくは単一ページでの作成か、といったSEOの知識も考慮して総合的な判断を行うことでキーワードの選び方をより効果的に行うことができることでしょう。